電気羊の夢

映画の視聴録。

2026年・24本目 ソナチネ

珍しくDVDを購入して視聴。というのも、そもそもサブスクで北野武の映画はほとんど見れない(あとから調べて、TSUTAYA DISCASにはあるらしいことがわかった)。

もともとは砂浜のじゃんけんのシーンがTwitterで流れてきて、ロシアンルーレットに漂う不思議な、無邪気さと死の匂いにやられて、「いつか観てみたいなあ」と思っていた。

https://youtu.be/fx-YNurxrLQ?si=F4pamolK5iJ15VzA

 

以下あらすじ。

村川は小さな組のボスだったが、親にあたる組織のボスの差し金で、沖縄の抗争の助太刀に向かう。が、却って村川たちが向かったことで、事態は悪化し、海に近い家屋でしばらく身を隠すことになった。子どものようにじゃれ合い遊ぶ日々を過ごすも、殺し屋に襲われて、村川の子分は命を落としていく。親組織の若頭を拷問し、実際には村川の組が親組織によって潰されようとしていることがわかった。村川は会談の場に乗り込んで、自分の「親」と組員たちを撃ち殺し、自らも命を絶つ。

中腹の30分はじゃれ合いのシーンが多いのだが、彼らがヤクザであることを忘れそうになる。ただ、その中で、じゃんけんのシーンは死を強烈に意識させられる、不思議な後味を残す。全体に仄暗く、何となくだが、最後はみんな死ぬのだというような虚しさが常にある。

 

2026年・23本目 ゲームマスター

やあ、ゲームマスターを観ているよ。Prime Videoを今すぐチェックする https://watch.amazon.co.jp/detail?gti=amzn1.dv.gti.e596fcdf-b797-46e7-80e4-1a698dc135ff&territory=JP&ref_=share_ios_movie&r=web
ガチC級映画。Twitterでのおすすめポストを見て視聴したのだが、あまりにお粗末!
要はデスゲームなのだが、構成が大学生が撮ったのかな、みたいな杜撰なもので、毒入りの寿司を握る大将の出るシーンで、必ず3人のおねーちゃんがテケテケと長々と踊る、みたいな意味不明なもの。シュールといえばシュールだが、唐突にレイプシーンが挿入されて困惑させられたり、役者の動きがバラバラなので構成的にもおかしくなっており、全く面白くなかった。v

22本目・ペパーミント・キャンディー

Prime Videoを今すぐチェックする https://watch.amazon.co.jp/detail?gti=amzn1.dv.gti.9eb9aa26-6ba7-11a2-f0cd-b62f34add5d5&territory=JP&ref_=share_ios_movie&r=web
久々に韓国映画。デジタルリマスター、と聞くと、名作なのかも知れないなと思ってつい観てしまったのだが、後から「オアシス」と同じイ・チャンドン監督の映画だと知った。
この映画は、最後は全てを失って列車に身を投げた男性の歴史を、巻き戻すようにして辿っていく。少し戻ると、以前の恋人が病床でズタボロ担っているシーンへ。そこから戻ると、妻の浮気を糾弾し、自分自身も浮気をして家庭がダメになっていくシーンへ。そこからさらに戻ると、学生運動の関係者を拷問する恐ろしい警察官へ。そこからまた戻ると、彼の印象はまた別のものになっていく。
背景には光州事件があり、その件が彼を変えてしまったかのように見える。若干性善説的な気もするし、「いや、お前の銃弾なんか〜い!」という感じもする。彼は傷ついて、変わってしまった…というところはちょっと安直な気もするが、粗暴なだけの人間じゃない部分がチラチラと見えてくるというのは、面白い構成だと思った。
若干脱線になるが、「オアシス」でも、主人公が強姦魔であるという点については十分に顧みられていない。被害経験が愛情のある関係に変わりうるのか?嫌悪と憎悪があるのに、自分が愛される存在たり得ないという苦痛は前景化せず、彼女を阻害する社会の側に嫌悪が投げかけられている。ペパーミント・キャンディーにも同様の構造はあり、人を傷つけている彼が、自分自身を悔いることはあっても、どこかそれは一人相撲に見えてならない。
ここまで批判的に書いてきたが、それでも中腹の、足を引き摺る彼の存在というのはとても印象的な映画だった。

2026年・22本目 戦場のメリークリスマス

やあ、戦場のメリークリスマスを観ているよ。Prime Videoを今すぐチェックする https://watch.amazon.co.jp/detail?gti=amzn1.dv.gti.0eb932a5-0e58-436f-a4e8-0b7bca515f03&territory=JP&ref_=share_ios_movie&r=web
学部生の頃に坂本龍一の「メリークリスマスMr.ローレンス」を聴いて、映画の方を見たのだが、「なんかよくわかんねえなあ」と思った記憶だけが残っており、漠然とカムバック。
インドネシアの駐屯地へ、坂本龍一演じるヨノイ少尉が連れてきたデビッド・ボウイ演じるジャック。ヨノイの部下・ハラ軍曹を演じるのはビートたけしというゴージャスさよ。ただ、規律があるようで結構ぐずぐずで、捕虜たちはそこそこ思い思いに振る舞っているように見える。
要所要所に同性愛的な要素が出てくるのだが、それらが一つの物語に結実しているとは言い難い。ヨノイが同性愛者でジャックを愛していた、というところまではわかるが、別にそれが一つのナラティブを形成してはいない。
ただ、処罰されそうになったジャックと通訳のローレンスが、酔ったハラに呼び出されるシーンはそれでも印象的である。それはラスト・シーンともつながっていて、メリー・クリスマス、Mr.ローレンス、と画面の向こうから呼びかけてくるよう。この画だけで見た甲斐があったな、と思う。

2026年・21本目 フランケンシュタイン

やあ、フランケンシュタイン(字幕版)を観ているよ。Prime Videoを今すぐチェックする https://watch.amazon.co.jp/detail?gti=amzn1.dv.gti.f8baefff-985e-a06e-a312-fe4180cf4dd0&territory=JP&ref_=share_ios_movie&r=web
1930年代の映画。フランケンシュタインは、河野恵里さんが某所のセミナーで熱心に話しておられたので、そこでの関心で今回観てみた。
原作はフランケンシュタイン博士が作った怪物が自らのアイデンティティについて悩んだり、自分のパートナーを作ってほしいと頼み込んだり、結構人間存在に触れる内容になっているらしい。wikiしか観ていないのだが、結構近代的な内容になっているのがよくわかる。
他方、今回の映画はかなりB級映画的である。怪物は会話の通じない力の強い化け物で、邪気はないけれど、博士の助手が乱暴するのに復讐して殺してしまったり、葉っぱのお船を浮かべるのになぞらえて女の子を川に投げ出して殺してしまう。暴力性というより、知能が未発達、というように見える。最後は怪物は建物もろとも焼き殺されてしまう、という筋で、結局怪物のアイデンティティとかはほとんど出てこない。
こう書くと燃えそうだが、印象としては座敷牢を描いたものに近い。SFで出会うような全く未知の不気味さというのとも違う、何らかの元イメージがあるように感じられる。ただ、それを主題に据えているかと言われるといまいちその描出も十分でない。
したがって、話の構成としてはB級ホラー風なのだが、特筆すべきはカメラワークの美麗さ。死んだ女の子を抱えて呆然と市街を歩く父親、松明を持って夜間動き回る群衆というのは、なかなかの見応えがあった。ところどころで演劇の舞台のような感じもあるが、ナマの現場で取るものは少し趣が違う。

2026年・20本目 十九歳の地図

やあ、十九歳の地図を観ているよ。Prime Videoを今すぐチェックする https://watch.amazon.co.jp/detail?gti=amzn1.dv.gti.e8ba390a-64be-7ffa-78de-c398eeb7a21d&territory=JP&ref_=share_ios_movie&r=web
中上健次の小説が原作の、陰気な映画。
新聞屋に下宿して配達をする青年・吉岡は、大して意気地もない癖にいつも街の連中に苛ついていて、誰がどこで暮らしていて、何をしているかを調べた地図を作って、そこにバツをつけている。そうしてバツが3個もついたら、電話帳で調べた番号に公衆電話から脅迫のイタズラ電話をかけて脅かして回っている。
同じ下宿の三十路男・紺野はふらふらしていてどうしょうもないが、妙に人情家で、憎めない。男は足にケガを負った年増の売春婦らしき女・「マリア様」のところに通って、恋仲になっている。
紺野はマリア様に貢ぐために盗みを繰り返して、捕まってしまった。吉岡はマリア様を罵倒するが、実はマリア様は紺野の子を身ごもっていた。
ガスで自殺しようとして、それをはじめは見るだけだった吉岡は、見かねてそれを止める。死にたくても死ねないのよ、と泣かれる。しばらくして吉岡は、たくましく生きていくマリア様の膨らんだ腹部を目にする。
なんとなく、昭和の陰気な文学を読まされた感じ。鬱屈した、大人になれない厭世的なペシミストが、泥臭く生きていく人に触れる、という感じではある。

2026年・19本目 イノセンス

やあ、イノセンスを観ているよ。Prime Videoを今すぐチェックする https://watch.amazon.co.jp/detail?gti=amzn1.dv.gti.b94bb0ff-4b63-41d9-9beb-5c18e6a82c73&territory=JP&ref_=share_ios_movie&r=web
4月は忙しく、映画をゆっくり観る余裕が皆無だった。結果、アニメを中心に観ており(ドロヘドロや攻殻機動隊 s.a.c.、葬送のフリーレンなど)、今回はその流れで押井守の攻殻機動隊第2作、「イノセンス」である。
今回は草薙素子無き後の公安9課、バトーが主人公。人を殺して自害するガイノイドを巡る物語。人形と人間の違いは?という、ghost in the shellとも通じるようなテーマではある。
ただ、台詞回しが長ったらしく、哲学書や文芸書からの引用がやたら多くて辟易とする。アニメのCG化も進んでいるし、画面全体が暗いのも「妙に作り込まれてるなあ」と思わされる。ループ個所で出てくる幻想的な塔などは、ゲームの世界を思わせる。こうしたオーバーなところが、観ている側をやや置いてきぼりにしている。
全体にそうした鼻につく感じがあるものの、ループ個所の作り込みなどはなかなかに面白かった。体験と現実の違いをあやふやにしていくところというのは、攻殻機動隊らしい。それから、最後は素子が出てきて助けてくれるのも、やはりghostだよね、と思う。