2023-01-01から1年間の記事一覧

現代クライン派入門 第12章

ジョセフが書いている。ケースプレゼンテーションが面白い。 頻度変更を巡って、侵入や強要と、同意や合意のプロセスを巡る葛藤がワーッと展開してる感じ。ジョセフはそれを解釈してるわけだけれど、この事態に留まっている・認識していることが重要に思える…

3度目の殺人

是枝裕和監督の作品。殺人を犯した男の弁護をしているうちに、話が二転三転していくので、真実が何かわからなくなっていく。次第に殺された男が娘をレイプしていたり、その事業所でドラッグを扱っていたりすることがわかっていくという。 「信じてくれますか…

バグダッド・カフェ

のんびり適当に見ることができた。ドイツから来て、喧嘩別れした女性が、モーテルのカフェで人と打ち解けていく、という話。なんか連続ドラマでありそうだなーと思いました。 バグダッド・カフェ ニュー・ディレクターズ・カット版 (字幕版)https://watch.am…

日の名残り

『日の名残り (ハヤカワepi文庫)』(カズオ・イシグロ, 土屋 政雄 著) https://read.amazon.com/kp/kshare?asin=B009DEMAKM&id=dscbrdymvjdhriwq3slfom3scq悪くなかったけど、執事である主人公の語りが、なんというか冗長な感じがしてあまり進まなかった。執…

カモンカモン

うーん、正直あまり面白くはなかった。映像は綺麗。子どもに対して向き合うということが、やや理屈っぽい感じで描かれている。お父さんがpsychoticだと苦労するなーとは思った。それ以上でも以下でもない感じ。https://watch.amazon.co.jp/detail?gti=amzn1.…

キャスト・アウェイ

まあ、おもろかった、無人島サバイバルライフ。後半は浦島太郎ライフだったな、でも別にそんなにケリーに思い入れがあるわけでもなく、登場人物があまりにないし個人にフォーカスできるものがないので、感情移入は特になかった。トムハンクスの演技は良かっ…

ピアノ・レッスン

Amazon Primeが勧めるがままにピアノ・レッスン。なんでこのガッチリおじさんに惹かれるのかがわからない。子どもがただただ可哀想。伝書鳩的に指を運ばされるという。なるほど、観終わると、愛の情熱、語れない人が声を出すこと、自分で自分のパートナーを…

遠い山なみの光

カズオ・イシグロの「遠い山なみの光」https://t.co/wyzlrUaL1K やりとりの行間にある違和感が、徐々に結実していって、実際にはそれぞれの中では大きな影を落としていること、それでもなんとか生きていこうともがいている、という感じがする。例えばそれは…

TENET

時間逆行をテーマとしたSFアクション映画。正直初見では、「ん?それでどこがどーなって?」となる感じ。解説があって初めてわかるな、という印象。エリサベス・デビッキがすげー美人。これだけ覚えて帰ってくださいね。 https://watch.amazon.co.jp/detail?…

燃ゆる女の肖像

「燃ゆる女の肖像」。音楽がほぼ出てこないこともあって、舞台である島の中で、本当に静かに火が燃ゆるかのような感じ。ワンシーンずつ、絵画のように見える。 オルフェウスのように、不可逆的な別れを静かに描いたという感じ。同性愛ということはあるが、な…

「ソフィーの選択」

「ソフィーの選択」。ナチによる収容、家族の剥奪、トラウマの話。まともに生きてはいけない、生きていても良いことなど無い、という強烈な刻印。パートナーは妄想に囚われており、彼と付き合うのがあたかも自らを狂った世界に収容しているかのよう。決定的…

「ナチスは良いこともしたのか?」

「ナチスは良いこともしたのか?」を読んでいる。歴史学においては、<事実>・<解釈>・<意見>の3層において、2番目=<解釈>、どんな文脈でそれが起こっていたのか、全体像を把握することの重要性が指摘される。多くの場合、「ナチスは良いこともした…

SWALLOW

異食の人。夫婦・家族内で何か軋轢が生じそうになってそれを飲み込む時、彼女は何か異物をどんどこ飲み込んでいく。飲み込みきれなくなって、破綻が迫った時、彼女は赤ちゃんを流してしまう。摂食・接触の問題にも思える。赤ちゃんが本当にかわいそう。https…

ターミナル

前から見てみたかった映画。祖国がクーデターで政権崩壊して帰国不能。意地悪されつつ、延々とターミナルで過ごす。その中で、朴訥な主人公が周囲に受け入れられて、CAさんとラブラブになったりして、みたいな感じの話。ただ、なんか、移民の話みたいな感じ…

ベルファスト!

北アイルランドのベルファストで、カソリックへの迫害が激化した頃の家族の揺らぎを描く作品。不思議と紛争の厳しさがあまり生々しくないのは、身内で紛争で亡くなる人が出てこない、というのも大きいかも。どうしてさっさと出ていかないのかと思うが、アイ…

ラブ&ポップ

村上龍の原作を元に、庵野秀明が監督を務めた作品。村上龍の小説というのは、こういうどうしようもない人生の送り方をしている思春期青年期の人物が出てくるのがど定番とも言える。生きてて虚しいとか、そういうことをアクティング・アウトのようなことを通…

華麗なるギャツビー

夜毎にクレイジーなパーティを催すギャツビー氏とは何者?実際には、非常に孤独な、愛を求めた詐欺師だった、という。レオ様は苦労したナイーブな自己愛的な男性を演じるのがとても似合う、という映画。その人がどんなバックグラウンドで、誰かを知っていく…

アナザーラウンド

中年期危機を迎えた主人公が、友人に唆されて、体内のアルコール濃度0.5%をキープする、という実験に乗り出す。仕事は確かにうまくいくようになったようだが、次第に歯車が狂い始める…。弱った気持ちはアルコールで遠くにやることができるかもしれないけれど…

Plan75

公的な棄老制度、Plan75という架空のシステムが導入された世界を描いた映画。老人たちが自らPlanの利用に向かい、それを斡旋したもの、制度内で進めてきた者が自らのしたことを悔いたり、苦しんだりする。が、なんというか、主人公が倍賞美津子で、割合体も…

角田光代「坂の途中の家」

Twitterから転記。 https://amzn.asia/d/3EIRgri 坂の途中の家、読了。最後の方は裁判の描写とモノローグで、比較的負荷が少なく読めた。 夫婦や家族間の絶妙に嫌なニュアンスの世界を描いていて、主人公の家庭のあれこれは読むのがとてもつらかった。誰も理…

大江健三郎「個人的な体験」

ついでに書いておく。 最近大江氏が亡くなったのもあって、前々からラジオ先生が「光」(大江氏の息子)について呟いていたのもあって、いつか読まないといけないと思っていた。主人公・バードは、息子が脳ヘルニアを持った状態で生まれてきて、そのことに耐…

角田光代「坂の途中の家」

Twitterが死につつあるので、ブログに感想を手短に残しておくことにする。 角田光代の「坂の途中の家」、妻に勧められて?読み始めた。虐待死の裁判員を務めることになった女性が、自分の子ども、そして夫との関わりの中で、有形無形のプレッシャーに晒され…

Drive My Car

Prime Videoで無料配信。3時間と長かったがぶっ通しで見てしまった。村上春樹とチェーホフとをミックスして、演じること、そこに自分が曝け出されること、ありのままになることを描いたものに思える。音のトランスや、ストーカーの物語が一体誰の罪悪感なの…

こころの再生を求めて/Alvarez

第14章 途方もない夢と嘘 249ページ 「このようにしてそうかもしれないもの…そうありうるもの、さらにそうなるであろうもの、に関連していると考えられるかもしれません。…現在のあり方を新たに変えていく可能性や未来の味方を新しくする可能性についての躊…