2023-08-01から1ヶ月間の記事一覧

燃ゆる女の肖像

「燃ゆる女の肖像」。音楽がほぼ出てこないこともあって、舞台である島の中で、本当に静かに火が燃ゆるかのような感じ。ワンシーンずつ、絵画のように見える。 オルフェウスのように、不可逆的な別れを静かに描いたという感じ。同性愛ということはあるが、な…

「ソフィーの選択」

「ソフィーの選択」。ナチによる収容、家族の剥奪、トラウマの話。まともに生きてはいけない、生きていても良いことなど無い、という強烈な刻印。パートナーは妄想に囚われており、彼と付き合うのがあたかも自らを狂った世界に収容しているかのよう。決定的…

「ナチスは良いこともしたのか?」

「ナチスは良いこともしたのか?」を読んでいる。歴史学においては、<事実>・<解釈>・<意見>の3層において、2番目=<解釈>、どんな文脈でそれが起こっていたのか、全体像を把握することの重要性が指摘される。多くの場合、「ナチスは良いこともした…

SWALLOW

異食の人。夫婦・家族内で何か軋轢が生じそうになってそれを飲み込む時、彼女は何か異物をどんどこ飲み込んでいく。飲み込みきれなくなって、破綻が迫った時、彼女は赤ちゃんを流してしまう。摂食・接触の問題にも思える。赤ちゃんが本当にかわいそう。https…

ターミナル

前から見てみたかった映画。祖国がクーデターで政権崩壊して帰国不能。意地悪されつつ、延々とターミナルで過ごす。その中で、朴訥な主人公が周囲に受け入れられて、CAさんとラブラブになったりして、みたいな感じの話。ただ、なんか、移民の話みたいな感じ…

ベルファスト!

北アイルランドのベルファストで、カソリックへの迫害が激化した頃の家族の揺らぎを描く作品。不思議と紛争の厳しさがあまり生々しくないのは、身内で紛争で亡くなる人が出てこない、というのも大きいかも。どうしてさっさと出ていかないのかと思うが、アイ…

ラブ&ポップ

村上龍の原作を元に、庵野秀明が監督を務めた作品。村上龍の小説というのは、こういうどうしようもない人生の送り方をしている思春期青年期の人物が出てくるのがど定番とも言える。生きてて虚しいとか、そういうことをアクティング・アウトのようなことを通…

華麗なるギャツビー

夜毎にクレイジーなパーティを催すギャツビー氏とは何者?実際には、非常に孤独な、愛を求めた詐欺師だった、という。レオ様は苦労したナイーブな自己愛的な男性を演じるのがとても似合う、という映画。その人がどんなバックグラウンドで、誰かを知っていく…

アナザーラウンド

中年期危機を迎えた主人公が、友人に唆されて、体内のアルコール濃度0.5%をキープする、という実験に乗り出す。仕事は確かにうまくいくようになったようだが、次第に歯車が狂い始める…。弱った気持ちはアルコールで遠くにやることができるかもしれないけれど…

Plan75

公的な棄老制度、Plan75という架空のシステムが導入された世界を描いた映画。老人たちが自らPlanの利用に向かい、それを斡旋したもの、制度内で進めてきた者が自らのしたことを悔いたり、苦しんだりする。が、なんというか、主人公が倍賞美津子で、割合体も…