しばらくサボっていた映画感想ポスト。
主人公が難聴の女性ボクサーで、要所要所で難聴であることが若干の足枷になるところはあるけれど、それが中心ではない感じ。
寧ろ、コロナ禍で閉じることを決めたボクシングジムで、彼女がどういう方向に舵を切っていくのか、という、ささやかな決意、ということだと思う。全般に、岸井ゆきのの雰囲気が良かった、表情とかで微妙な心情を伝えてくる。言葉にならない雰囲気の領域。よかったけど、何がよかったか言葉にしにくいね。
ジョセフが書いている。ケースプレゼンテーションが面白い。
頻度変更を巡って、侵入や強要と、同意や合意のプロセスを巡る葛藤がワーッと展開してる感じ。ジョセフはそれを解釈してるわけだけれど、この事態に留まっている・認識していることが重要に思えるけど。
しかし、解釈しなければ、基本は好き勝手に言ったもん勝ちになってしまう。放っておくと、事態は平衡の維持に向かうし、病理的なパーソナリティが跋扈する、というのは現代クライン派の基本スタンスではある。
他方で、ゴリゴリ解釈すると傷つけ過ぎたりへたったりしてしまう場合もあるわけで。解釈の機能とはなんなのか。
是枝裕和監督の作品。
殺人を犯した男の弁護をしているうちに、話が二転三転していくので、真実が何かわからなくなっていく。次第に殺された男が娘をレイプしていたり、その事業所でドラッグを扱っていたりすることがわかっていくという。
「信じてくれますか?」と肉薄されるシーンで、一体何を信じて欲しかったのか。真実性というものが揺らぐ。代わりに死んでも良い、という考えに主人公は加担していたわけだけれど、誰が命を選別するのか。
死刑制度を巡る問題意識というとあまりにシンプルな記述かも。人は真実を知ることができるのかという問い、そしてもしそれができないならば、何故人の生き死にを決定できるのかという問い。
のんびり適当に見ることができた。ドイツから来て、喧嘩別れした女性が、モーテルのカフェで人と打ち解けていく、という話。なんか連続ドラマでありそうだなーと思いました。
バグダッド・カフェ ニュー・ディレクターズ・カット版 (字幕版)
https://watch.amazon.co.jp/detail?gti=amzn1.dv.gti.a2a9f548-1ecc-a9ae-21d8-c10180edbca1&territory=JP&ref_=share_ios_movie&r=web
『日の名残り (ハヤカワepi文庫)』(カズオ・イシグロ, 土屋 政雄 著)
https://read.amazon.com/kp/kshare?asin=B009DEMAKM&id=dscbrdymvjdhriwq3slfom3scq
悪くなかったけど、執事である主人公の語りが、なんというか冗長な感じがしてあまり進まなかった。
執事として生きてきた人が、自分の主人である人が過ちを犯していたことを回想する、という。
ただ、興味深いのは、あるポイントにおいて、それまで見てきた冗長さとは違ったものに出会うということ。それを知ると、そこまでの迷いや戸惑いが結実して、それまで見てきたものが何か違って見えるような、そういう不思議な体験はあった。
もう少し言えば、執事性を生きてきた人が、個人としての体験に触れた瞬間だったのかも。
うーん、正直あまり面白くはなかった。
映像は綺麗。
子どもに対して向き合うということが、やや理屈っぽい感じで描かれている。お父さんがpsychoticだと苦労するなーとは思った。それ以上でも以下でもない感じ。
https://watch.amazon.co.jp/detail?gti=amzn1.dv.gti.db3c615e-519b-4201-8488-29c944135342&territory=JP&ref_=share_ios_movie&r=web